5072. 創世記 第40章
第1節: これらの事があってのち、エジプト王の給仕係と料理係とが、その主人であるエジプト王にたいして罪を犯した。
第2節: パロは、二人の宮廷吏、すなわち給仕係の司(つかさ)と料理係の司にたいして憤った。
第3節: そして侍衛長の家の監禁所、すなわちヨセフが監禁されている獄屋に、かれらを入れた。
第4節: 侍衛長は、ヨセフをかれらの監督にした。それでヨセフはかれらに仕え、かれらは日々、監禁所で過ごした。
第5節: 獄屋につながれているエジプト王の給仕係と料理係の二人は、一夜で、それぞれ自分の夢の解釈にしたがって、自分の夢を見た。
第6節: 朝になって、ヨセフがかれらのところへ行くと、見よ、かれらは狼狽していた。
第7節: そこでヨセフは、自分と一緒に主人の家の監禁所にいるパロの宮廷吏に尋ねた。きょうはなぜ、あなた方の顔色が悪いのですか、と。
第8節: かれらは言った。わたしたちは夢を見ましたが、夢を解いてくれる者がいません、と。ヨセフはかれらに言った。解くことは神のなさることです。どうぞ、わたしに話してみてください、と。
第9節: 給仕係の司は、ヨセフに自分の夢を話して言った。わたしの夢の中で、見よ、わたしの前に一本のブドウの木がありました。
第10節: そのブドウの木に三つの枝があって、芽を出し、花が咲き、ブドウの房が熟しました。
第11節: わたしの手に、パロの杯がありました。わたしはそのブドウを取り、しぼってパロの杯に入れ、その杯をパロの手にささげました、と。
第12節: ヨセフはかれに言った。その解き明かしはこうです。三つの枝は三日を意味します。
第13節: 三日すると、パロはあなたの頭を上げて、あなたを前の役目に戻すでしょう。あなたはかれの給仕係だった時のように、パロの手に、杯をささげるでしょう。
第14節: あなたに幸運がもどったとき、わたしのことを覚えていて、どうかわたしに慈悲をほどこし、わたしの事をパロに思い出させ、この家からわたしを出すようにしてください。
第15節: わたしは実際、ヘブル人の地からさらわれてきました。わたしは、ここでも、地下の獄屋に入れられるような事は、何もしませんでした、と。
第16節: 料理係の司は、その解き明かしが良かったのを見て、ヨセフに言った。わたしもまた、夢を見ましたが、わたしの頭の上に、穴のあいた籠(かご)が三つありました。
第17節: 一番上の籠には、料理係がパロのために作った食物全部がありましたが、トリがわたしの頭の上の籠から、それを食べていました。
第18節: ヨセフは答えて言った。その解き明かしはこうです。三つの籠は三日です。
第19節: 今から三日したら、パロはあなたの頭を上げ離して、あなたを木に掛けるでしょう。そしてトリが、あなたの上から、あなたの肉を食うでしょう、と。
第20節: 三日目になった。それはパロの誕生日であった。パロはすべての召使のために宴会を設け、その召使のうち、給仕係の司の頭と、料理係の司の頭を上げた。
第21節: パロは給仕係の司を、接待の職に返したので、かれはパロのに杯をささげた。
第22節: しかしパロは、ヨセフがかれらに解き明かしたとおり、料理係の司を木に掛けた。
第23節: 給仕係の司は、ヨセフを思い出さず、かれのことを忘れてしまった。
内容
内的意味の上で、つづいて本章で問題にするのは、試練・誘惑の状態です。その試練・誘惑をとおして、物体的なもの自身が、相応関係にもどされます。固有の意味で、物体的なものとは、感覚的なものを指します。それには二種類あって、理知的部分に従属するものと、意志的部分に従属するものです。
「エジプトの王の給仕係」とは、理知的部分に従属するものです。「料理係」は、意志的部分に従属するものです。「給仕係は自分の役目に戻った」が、「料理係は木に掛けられた」とは、前者が時間的に保留されたのにたいし、後者が放逐されたことを、表象的に表わします。その他については、一連の内的意味の上で明らかになります。