5288. 「かれにエジプトの地を治めさせてください」とは、自然的精神の中で、万事をととのえることを意味します。「ある事柄を治めさせる（ある事柄を支配管理させる）とは、秩序づける人を上司に立てる、つまりは秩序づけるという意味があります。「エジプトの地」とは、5276,5278,5279節で触れたように、自然的精神を意味します。
ここで「かれ」と言っているのは、理知と英知の人で、真理と善を指します。つまり自然的なものの中で、万事を秩序づけるのは、真理と善であるということです。自然的精神の中で、個々全体を秩序づけるのは、善であり、真理ですが、この善と真理は、より内部的なところから溢れ注がれて、万事を配置づけるものとなります。
② 人の理知的能力とは、どのようなものでしょう。人はどのようにして物事を直観し、それを感じとり、分析思考を加え、結論を下し、最終的には、意志に訴え、意志を通して行為させるか知らないなら、どうでしょう。そのような人には、驚きがなく、ただ万事が自然的な流れで、動いているとしか思いません。
ところが個々全体は、主のみ力により、天界をとおして流れてくる流入に依存しています。この流入がなければ、人は何ひとつ考えることはできません。流入が中断すれば、思考のすべてが中断します。善は、天界を通してくる主の流入で、その善が万事を秩序づけています。そして人が許すかぎり、天界に似た〈かたち〉づくりをします。こうして思考作用は、天界的〈かたち〉に合致するように、流れています。
天界的〈かたち〉とは、天界の諸社会が秩序づけられている〈かたち〉そのものです。そしてこの天的諸社会は、主から発出する善と真理がもたらす〈かたち〉に沿って、秩序づけられています。
