天界の秘義 #5302

Durch Emanuel Swedenborg

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5302. 「飢饉によって、地は滅びることがないでしょう」とは、人が滅びないようにとの意味です。つまり真理の欠如による滅びです。「滅びる」とは、消滅するという意味です。ここでの「地」は、エジプトの地です。これは5301節で触れたように、自然的精神です。自然的精神とは、人そのものです。人が人であるのは、その精神によるだけでなく、人を構成するのは、精神自身だからです。しかも、どのような精神であるかによって、人は決まります。

精神とは、人の理性と意志ですから、結局、人の〈いのち〉そのものです。愚かな人は、人が人であるのは、外面的な〈かたち〉によると考え、本人の顔こそ、人の実体であると思います。やや賢くなると、人が人であるのは、話すことができるからだと考えます。それよりさらに賢くなると、人が人であるのは、考えることができるためであると思います。

ところが、人が人であるのは、以上が原因ではなく、真理を考察し、善を欲することができるからです。真理を考察し、善を欲するとき、人は神を直観的に見ることができます。そして感知力を働かせて、神を受け入れることができます。これこそ人間が野生動物と区別されるところです。

② 人のような外観をしている、話すことができる、考えることができるからと言って、それが人を人にしているわけではありません。人が偽りを考え、悪を欲したとすれば、人は野生動物のようであるだけでなく、それより悪くなります。人は、考え欲する能力を用いて、みずからの人間性を壊し、自分自身ケモノ同然にするからです。

そんな人間を来世で目撃すれば、何よりもそれがはっきりします。そのような人が天界の光に照らされたり、天使たちに見つめられたりすると、その途端に怪物のように見えてきます。ケモノ同然の人、ヘビのようにずるい人など、さまざまです。天界の光から逃れ、地獄なりの光明にもどると、おたがいに、人間のように見えてきます。

「七年の飢饉に備えて、当地に蓄える食糧となり、飢饉によって、地が滅びることがないように」とは、主が人の準内部に隠しおかれた諸善と諸真理がなければ、人は真理の欠乏によって滅びるであろうという意味です。その有様がどのように展開するかは、本章のつづきで述べていきます。

  
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