天界の秘義 #6574

Po Emanuel Swedenborg

Proučite ovaj odlomak

  
/ 10837  
  

6574. 「多くの民を生きながらえさせるため」とは、善の諸真理の中にある人々には、その結果〈いのち〉があるという意味です。その根拠は次の通りです。「生きながらえさせる」とは、霊的〈いのち〉があるという意味です(5890,6032節)。「民(国民)」とは、真理を指します(1259,1260,3295,3581,4619節)。

しかも「多くの(大いなる)民」と言われているため、ここでの真理は、善の真理(善からの真理)であって、善からの真理は、善の源になる真理より、偉大です。善からの真理は、善によって形成されていますから、それ自身として善です。結局は、みずからの〈かたち〉に宿る善 です。

② ヨセフは、自分の兄弟たちにたいして、ここで次のように言いました。すなわち「あなた方は、わたしに悪をたくらみましたが、神は、多くの民を生きながらえさせるため、この日のことを考えて、それを善に変えられました」と。この言葉には、天界の秘義が込められています。そこに込められている秘義とは、次のとおりです。

来世で、地獄霊たちが善人を誘惑するのを、主は黙認されます。つまり諸偽りと諸悪とを吹き込むのが許されます。地獄霊たちは、それに全力を注ぎますが、そのような誘惑を行なうとき、かれらは自分なりの〈いのち〉に漬かっており、しかも〈いのち〉の喜びを味わっています。

そのとき、主ご自身は直接的に、天使たちは間接的に、誘惑にあう人々に付き添い、抵抗します。地獄霊のもつ偽りを追い払い、かれらの悪を消し去り、そこに刷新的励まし、希望、勝利をもたらします。こうして、善の諸真理に宿る人々の信仰上の諸真理と、仁愛の諸善は、いっそう深く根づき、さらに強固な確信に変わります。これこそ、霊的〈いのち〉が賦与される道筋です。

③ 以上から明らかになるのは、本節に含まれる内的意味です。すなわち真理と善から分離疎外された者は、誘惑をしかける霊となり、企てることは悪でしかないにもかかわらず、神は、永遠からの秩序にしたがって、それを善に変えてくださり、その結果、善の諸真理のうちにある人々に、〈いのち〉が与えられるということです。

しかし忘れてはならないのは、次のとおりです。地獄霊たちは、以上のように、善霊に危害を加えることを黙認されます。かれらが企てることは、悪でしかありません。かれらが欲することは、全力で善霊たちを天界から引き離し、地獄に投げ入れることです。かれらの〈いのち〉の喜びは、人の魂を滅ぼすこと、しかも永遠にいたるまで滅ぼすことです。ただし主がたとえ悪霊たちを黙認されても、それによって、善が生まれてくる以外の目的はありません。すなわち誘惑の渦中にある人々の中で、真理と善が確固となり、強化されることです。霊界では、主から発出する目的が、あまねく支配しており、そこから善が生じるのでなければ、ごく些細なことを含め、何ひとつ実在できません。主のみ国が、「目的と役立ちのみ国」と言われるのは、そのためです。

  
/ 10837  
  

Many thanks to Arcana Press for their permission to use this translation online.