ステップ _9713

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マタイによる福音書 8

1 イエスが山をお降りになると、おびただしい群衆がついてきた。

2 すると、そのとき、ひとりのらい病人がイエスのところにきて、ひれ伏して言った、「主よ、みこころでしたら、きよめていただけるのですが」。

3 イエスは手を伸ばして、彼にさわり、「そうしてあげよう、きよくなれ」と言われた。すると、らい病は直ちにきよめられた。

4 イエスは彼に言われた、「だれにも話さないように、注意しなさい。ただ行って、自分のからだを祭司に見せ、それから、モーセが命じた供え物をささげて、人々に証明しなさい」。

5 さて、イエスがカペナウムに帰ってこられたとき、ある百卒長がみもとにきて訴えて言った、

6 「主よ、わたしの僕が中風でひどく苦しんで、家に寝ています」。

7 イエスは彼に、「わたしが行ってなおしてあげよう」と言われた。

8 そこで百卒長は答えてった、「主よ、わたしの屋根の下にあなたをお入れする資格は、わたしにはございません。ただ、お葉をさい。そうすれば僕はなおります。

9 わたしも権威の下にある者ですが、わたしの下にも兵卒がいまして、ひとりの者に『行け』と言えば行き、ほかの者に『こい』と言えばきますし、また、僕に『これをせよ』と言えば、してくれるのです」。

10 イエスはこれを聞いて非常に感心され、ついてきた人々に言われた、「よく聞きなさい。イスラエル人の中にも、これほどの信仰を見たことがない。

11 なお、あなたがたに言うが、多くの人が東から西からきて、天国で、アブラハムイサクヤコブと共に宴会の席につくが、

12 この国の子らは外のやみに追い出され、そこで泣き叫んだり、がみをしたりするであろう」。

13 それからイエスは百卒長に「行け、あなたの信じたとおりになるように」と言われた。すると、ちょうどその時に、僕はいやされた。

14 それから、イエスはペテロの家にはいって行かれ、そのしゅうとめが熱病で、床についているのをごらんになった。

15 そこで、その手にさわられると、熱が引いた。そして女は起きあがってイエスをもてなした。

16 夕暮になると、人々は悪霊につかれた者を大ぜい、みもとに連れてきたので、イエスはみ言葉をもって霊どもを追い出し、病人をことごとくおいやしになった。

17 これは、預言者イザヤによって「彼は、わたしたちのわずらいを身に受け、わたしたちの病を負うた」と言われた言葉が成就するためである。

18 イエスは、群衆が自分のまわりに群がっているのを見て、向こう岸に行くようにと弟子たちにお命じになった。

19 するとひとりの律法学者が近づいてきて言った、「先生、あなたがおいでになる所なら、どこへでも従ってまいります」。

20 イエスはその人に言われた、「きつねには穴があり、空の鳥には巣がある。しかし、人の子にはまくらする所がない」。

21 また弟子のひとりが言った、「主よ、まず、父を葬りに行かせて下さい」。

22 イエスは彼に言われた、「わたしに従ってきなさい。そして、その死人を葬ることは、死人に任せておくがよい」。

23 それから、イエスが舟に乗り込まれると、弟子たちも従った。

24 すると突然、海上に激しい暴風が起って、舟は波にのまれそうになった。ところが、イエスは眠っておられた。

25 そこで弟子たちはみそばに寄ってきてイエスを起し、「主よ、お助けください、わたしたちは死にそうです」と言った。

26 するとイエスは彼らに言われた、「なぜこわがるのか、信仰の薄い者たちよ」。それから起きあがって、風と海とをおしかりになると、大なぎになった。

27 彼らは驚いて言った、「このかたはどういう人なのだろう。風も海も従わせるとは」。

28 それから、向こう岸、ガダラ人の地に着かれると、悪霊につかれたふたりの者が、墓場から出てきてイエスに出会った。彼らは手に負えない乱暴者で、だれもその辺の道を通ることができないほどであった。

29 すると突然、彼らは叫んで言った、「神の子よ、あなたはわたしどもとなんの係わりがあるのです。まだその時ではないのに、ここにきて、わたしどもを苦しめるのですか」。

30 さて、そこからはるか離れた所に、おびただしい豚の群れが飼ってあった。

31 悪霊どもはイエスに願って言った、「もしわたしどもを追い出されるのなら、あの豚の群れの中につかわして下さい」。

32 そこで、イエスが「行け」と言われると、彼らは出て行って、豚の中へはいり込んだ。すると、その群れ全体が、がけから海へなだれを打って駆け下り、水の中で死んでしまった。

33 飼う者たちは逃げてに行き、悪霊につかれた者たちのことなど、いっさいを知らせた。

34 すると、中の者がイエスに会いに出てきた。そして、イエスに会うと、この地方から去ってくださるようにと頼んだ。

マタイによる福音書 9

1 さて、イエスは舟に乗って海を渡り、自分のに帰られた。

2 すると、人々が中風の者を床の上寝かせたままでみもと運んできた。イエスは彼らの信仰を見て、中風の者、「子よ、しっかりしなさい。あなたの罪はゆるされたのだ」と言われた。

3 すると、ある律法学者たちが心の中で言った、「この人は神を汚している」。

4 イエスは彼らの考えを見抜いて、「なぜ、あなたがたは心の中で悪いことを考えているのか。

5 あなたの罪はゆるされた、と言うのと、起きて歩け、と言うのと、どちらがたやすいか。

6 しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威をもっていることが、あなたがたわかるため」と言い、中風の者むかって、「起きよ、床を取りあげて家帰れ」と言われた。

7 すると彼は起きあがり、家に帰って行った。

8 群衆はそれを見て恐れ、こんな大きな権威を人にお与えになった神をあがめた。

9 さてイエスはそこから進んで行かれ、マタイという人が収税所にすわっているのを見て、「わたしに従ってきなさい」と言われた。すると彼は立ちあがって、イエスに従った。

10 それから、イエスが家で食事の席についておられた時のことである。多くの取税人や罪人たちがきて、イエスや弟子たちと共にその席に着いていた。

11 パリサイ人たちはこれを見て、弟子たちに言った、「なぜ、あなたがたの先生は、取税人や罪人などと食事を共にするのか」。

12 イエスはこれを聞いて言われた、「丈夫な人には医者はいらない。いるのは病人である。

13 『わたしが好むのは、あわれみであって、いけにえではない』とはどういう意味か、学んできなさい。わたしがきたのは、義人を招くためではなく、罪人を招くためである」。

14 そのとき、ヨハネの弟子たちがイエスのところにきて言った、「わたしたちとパリサイ人たちとが断食をしているのに、あなたの弟子たちは、なぜ断食をしないのですか」。

15 するとイエスは言われた、「婚礼の客は、花婿が一緒にいる間は、悲しんでおられようか。しかし、花婿が奪い去られる日が来る。その時には断食をするであろう。

16 だれも、真新しい布ぎれで、古い着物つぎを当てはしない。そのつぎきれは着物を引き破り、そして、破れがもっとひどくなるから。

17 だれも、新しいぶどう酒を古い皮袋に入れはしない。もしそんなことをしたら、その皮袋は張り裂け、酒は流れ出るし、皮袋もむだになる。だから、新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れるべきである。そうすれば両方とも長もちがするであろう」。

18 これらのことを彼ら話しておられると、そこひとりの会堂司がきて、イエスを拝して言った、「わたしの娘がただ今死ました。しかしおいでなって手をその上おいてやって下さい。そうしたら、娘は生き返るでしょう」。

19 そこで、イエスが立って彼について行かれると、弟子たちも一緒に行った。

20 するとそのとき、十二年間も長血をわずらっている女が近寄ってきて、イエスのうしろからみ衣のふさにさわった。

21 み衣にさわりさえすれば、なおしていただけるだろう、と心の中で思っていたからである。

22 イエスは振り向いて、この女を見て言われた、「娘よ、しっかりしなさい。あなたの信仰があなたを救ったのです」。するとこの女はその時に、いやされた。

23 それからイエスは司の家に着き、笛吹きどもや騒いでいる群衆を見て言われた。

24 「あちらへ行っていなさい。少女は死んだのではない。眠っているだけである」。すると人々はイエスをあざ笑った。

25 しかし、群衆を外へ出したのち、イエスは内へはいって、少女の手をお取りになると、少女は起きあがった。

26 そして、そのうわさがこの地方全体にひろまった。

27 そこから進んで行かれると、ふたりの盲人が、「ダビデの子よ、わたしたちをあわれんで下さい」と叫びながら、イエスについてきた。

28 そしてイエスが家にはいられると、盲人たちがみもとにきたので、彼らに「わたしにそれができると信じるか」と言われた。彼らは言った、「主よ、信じます」。

29 そこで、イエスは彼らの目にさわって言われた、「あなたがたの信仰どおり、あなたがたの身になるように」。

30 すると彼らの目が開かれた。イエスは彼らをきびしく戒めて言われた、「だれにも知れないように気をつけなさい」。

31 しかし、彼らは出て行って、その地方全体にイエスのことを言いひろめた。

32 彼らが出て行くと、人々は悪霊につかれたおしをイエスのところに連れてきた。

33 すると、悪霊は追い出されて、おしが物を言うようになった。群衆は驚いて、「このようなことがイスラエルの中で見られたことは、これまで一度もなかった」と言った。

34 しかし、パリサイ人たちは言った、「彼は、悪霊どものかしらによって悪霊どもを追い出しているのだ」。

35 イエスは、すべての々村々を巡り歩いて、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、あらゆる病気、あらゆるわずらいをおいやしになった。

36 また群衆が飼う者のない羊のように弱り果てて、倒れているのをごらんになって、彼らを深くあわれまれた。

37 そして弟子たちに言われた、「収穫は多いが、働き人が少ない。

38 だから、収穫の主に願って、その収穫のために働き人を送り出すようにしてもらいなさい」。

マタイによる福音書 10:1-15

1 そこで、イエスは十二弟子を呼び寄せて、汚れた霊を追い出し、あらゆる病気、あらゆるわずらいをいやす権威をお授けになった。

2 十二使徒の名は、次のとおりである。まずペテロと呼ばれたシモンとその兄弟アンデレ、それからゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネ

3 ピリポとバルトロマイ、トマスと取税人マタイ、アルパヨの子ヤコブとタダイ、

4 熱心党のシモンとイスカリオテのユダ。このユダはイエスを裏切った者である。

5 イエスはこの十二人をつかわすに当り、彼らに命じて言われた、「異邦人の道に行くな。またサマリヤ人のにはいるな。

6 むしろ、イスラエルの家の失われた羊のところに行け。

7 行って、『天国が近づいた』と宣べ伝えよ。

8 病人をいやし、死人をよみがえらせ、らい病人をきよめ、悪霊を追い出せ。ただで受けたのだから、ただで与えるがよい。

9 財布の中に金、銀または銭を入れて行くな。

10 旅行のための袋も、二枚の下着も、くつも、つえも持って行くな。働き人がその食物を得るのは当然である。

11 どの、どの村にはいっても、その中でだれがふさわしい人か、たずね出して、立ち去るまではその人のところにとどまっておれ。

12 その家にはいったなら、平安を祈ってあげなさい。

13 もし平安を受けるふさわしい家であれば、あなたがたの祈る平安はその家来るであろう。もしふさわしくなければ、その平安はあなたがた帰って来るであろう。

14 もしあなたがたを迎えもせず、またあなたがたの言葉を聞きもしない人があれば、その家やを立ち去る時に、足のちりを払い落しなさい。

15 あなたがたによく言っておく。さばきの日には、ソドム、ゴモラの地の方が、そのよりは耐えやすいであろう。